「ネット広告の闇」について解説【アドフラウド・ビューアビリティ・ブランドセーフティ】
公開日:2020/01/26 (更新日:2020/05/15)
こんにちは、株式会社Clans代表の藤田です。
本日は近年ネット広告の闇として話題になっているアドフラウド・ビューアビリティ・ブランドセーフティについて解説していきます。
皆さんのメディアが意図せず不正に加担してしまうケースもあるので、内容を理解できるようにわかりやすくまとめましたのでぜひ目を通してみてください。
目次
ネット広告の問題をわかりやすく解説
近年、ネット広告業界では不正に対する風当たりが非常に強くなってきており、もはや誰も無視できないほどの大きな問題となっています。
アドネットワークやDSPは多くのユーザーにリーチできる便利な広告配信ツールですが、その技術の隙を突いて不正に収益を受け取ろうと考える悪質なサイト運営者が存在しているのが現状です。
特に大きく話題になっているのが「アドフラウド・ビューアビリティ・ブランドセーフティ」の3つの問題です。
それぞれ以下に簡単に説明しておきます。
人ではなく機械(bot)が不正なインプレッションやクリックを発生させること
【ビューアビリティ】
発生したインプレッションのうち、実際にユーザーが広告を視認したインプレッションの割合
【ブランドセーフティ】
広告主のブランドを損なうような悪質なメディアに広告が掲載されてしまうこと
これらは問題として取沙汰されることが多いのですが、逆に言えばこれらの対策ができているメディアは良質なメディアと見なされて収益性が上がるチャンスにもなっています。
この記事を読めば、何も知らないうちに不正メディアと見なされて収益がなくなってしまった…なんてことはなくなりますので、ぜひメディア運営の参考にしてみてください。
不正に収益を得るアドフラウド
アドネットワークが登場してから、広告主は無数のメディアに対して広告を配信し、比較的低コストでも多くのユーザーにリーチすることが可能になりました。
その反面、どんなメディアに掲載されているか、どんなユーザーにクリックされているかを全て把握することはほぼ不可能となっており、その隙を突いて不正に収益を受け取ろうとするメディアが増加しました。
この不正なメディアは、広告主の課金条件であるインプレッションやクリックを人ではなく自動でプログラミングされた機械によって大量に発生させ、
実際に人に広告が届けられていないにも関わらず広告主からお金を受け取ります。
この問題がアドフラウドと呼ばれています。
そこでGoogleやYahooといった大手の広告ベンダーを筆頭に、DSPやアドネットワーク各社がbotを判定する仕組みを導入し、botと見なされたインプレッションやクリックに対しては課金を発生させない対策が取られました。
これによって不正なメディアは収益を受け取ることができず、不正防止に一定の効果が得られるようになりました。
ビューアビリティ
ビューアビリティは、発生したインプレッションのうち何%がユーザーに視認されているかの割合のことを指します。
視認の定義はプラットフォームによってまちまちですが、一般的には「広告領域の50%以上が1秒以上表示された時」とされています。
ビューアビリティについてはアドテク大学でも何度か取り上げてきましたが、ここでの話は少し毛色が異なります。
不正という観点でのビューアビリティは、”意図的に”広告がユーザーに見えない状態で掲載し、インプレッションを発生させて収益を受け取ろうとすることです。
例えばユーザーが普通にブログ記事を閲覧している裏側で、広告を見えない状態で掲載してインプレッションを発生させる、といった要領です。
ユーザーからすると広告が配信されていること自体気づかないので、見ることもクリックすることもできません。
そこでビューアビリティに対してもベンダー各社が重要視し始め、ビューアビリティが極端に低い広告枠には配信を停止する、もしくは入札単価を引き下げる仕組みが導入されました。
これにより、意図的であっても意図的ではなくても、ビューアビリティの低い広告枠での収益化がほぼできなくなったため、全てのメディア運営者が意識するべき問題となりました。
善良な運営を行っているメディアでも、例えばフッターに広告枠を設置していたら不正なメディアと見なされる恐れがあるので注意が必要です。
ビューアビリティ対策は以下の記事で解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
LazyLoad導入で広告収益アップ!Google Ad Manager活用術
ブランドセーフティ
ブランドセーフティは、広告主のブラントを毀損するようなメディア(違法サイトやアダルトサイト)などに広告が掲載されてしまうことを指します。
これはアドネットワークが無数のメディアを束ねている副作用のようなもので、アドネットワークも認知していないメディアが紛れ込んでしまい
本来出してはいけないはずのブランド広告を配信してしまう、といった問題です。
この問題により、ブランド広告主の予算の多くはPMP(プライベートマーケットプライス)に移行し始めているのが現状です。
PMPは招待制のネットワークのようなもので、特定のメディアのみで構成されたネットワークに広告を配信できる仕組みのことです。
ネットワーク広告の収益性が年々下がっていく中、国内でも大手の優良メディアはPMPに注力し始めています。
中小のメディアがいきなりPMPに入るのはハードルが高いため、まず優良な運営を心がけることと、ユーザー規模をしっかり増やせるように運営していくことが重要です。
アドベリフィケーションの登場
ネット広告の不正が増えるにしたがい、不正対策を行うツールを提供する企業が登場してきました。
それがアドベリフィケーションというツールです。
アドベリフィケーションは広告主が広告を配信する際に、ビューアビリティ・ブランドセーフティを担保するためのツールです。
広告主はこのツールを利用することで、見られない広告枠や違法サイトへの配信を未然に防ぐことができます。
今までは広告の獲得単価が最も重要なKPIとして認識するのが当たり前でしたが、現代ではインプレッションの”質”が重要視されるようになってきました。
それは今後もさらに加速していき、プレミアムな広告枠やネットワークへと予算が移行していくのは明らかです。
まとめ
今回は基礎知識としてネット広告にまつわる不正問題を解説してきました。
自分のメディアは不正なんてしてないから関係ない、と思うのではなく、知らないところで不正メディアと見なされていないか常に意識しておくことが重要です。
特にビューアビリティはメディア側の努力次第で改善できる指標なので、一度皆さんのメディアの広告枠のビューアビリティを調べてみることをおすすめします。
そしてもしビューアビリティが10%を切るような枠があれば、LazyLoadを導入するか、広告枠を削除した方が将来的なリスクを回避することができます。
今回の解説内容について質問があればメールやDMでお気軽にご連絡ください。
それではm(_ _)m