アドテクの専門用語を徹底解説【基礎知識を身に付けよう!】
公開日:2019/11/09 (更新日:2020/05/15)
こんにちは、株式会社Clans代表の藤田です。
本記事ではアドテクに関する用語を解説していきます。
アドテク用語はアルファベット3文字の略称が大量に出てきたり、人によって言い方が違ったり…と、なかなか覚えづらいワードがたくさん出てきます。
今回は初心者の方向けに、アドテク用語の中でも頻繁に使われる言葉に絞って解説していきます。
目次
レポーティング、指標系の用語
まず最初に、最も基礎部分となるレポーティングなどで指標として使われる用語を解説していきます。
インプレッション(imp)
広告が表示された回数のことです。
正確には、「広告が読み込まれた回数」と言うこともできます。実際に広告がユーザーの目に触れた、触れていないに関わらずカウントされます。
ほとんどの場合は「imp」と略して使われます。
CTR(Click Through Rate)
CTR = クリック数 / インプレッション数
インプレッションに対するクリック率のことです。
広告が読み込まれた回数に対して、どれだけのクリックが発生したかを見るのに必要な指標です。
CTRは広告の掲載位置やクリエイティブ等によって変動します。一般的にCTRは高ければ高いほど高い収益性につながります。
CPC(Cost Per Click)
CPC = 売上 / クリック数
1クリックあたりの単価を表す指標です。
CPCは広告主の入札単価によって変動し、高ければ高いほどメディアの収益性が向上していきます。
広告主は効果の良い広告枠に対して入札単価(CPC)を上げるため、誤クリックを誘発するような広告枠はCPCが下がる傾向にあるので注意が必要です。
CPM(Cost Per Mile)
CPM = 売上 / インプレッション数 × 1,000
1,000回あたりのインプレッションに対する収益額のことです。
広告枠の収益性を示す最も重要な指標で、CPMが高ければ高いほど収益性が上がっていきます。
CPMは「CPC × CTR」でも算出することができ、広告主の入札単価や広告枠の位置などによって大きく変動します。
会社で広告マネタイズ担当になると、毎日のようにCPMを追いかけることになります(笑)
inview数(ビューアブルインプレッション)
広告が実際にユーザーに視認された回数のことです。
「視認」の定義は広告事業者によってまちまちですが、最も一般的な定義は「画面に広告表示領域の50%以上が1秒以上表示された時」です。
例えばフッターに広告を掲載していたとしても、ユーザーがフッターまで行かずに離脱した時はinviewとしてカウントされません。
inview率(ビューアビリティ)
inview率 = inview数 / インプレッション数
インプレッションに対するinview数の割合です。
近年のアドテク業界ではこのinview率が非常に重要な指標になってきています。
広告主はインプレッションに対してお金を支払っているケースが多いのですが、それを逆手に取ってユーザーの目に見えないところで大量にインプレッションだけを発生させて収益を受け取る不正なメディアがここ数年で増えました。
その対策として実際に視認されたinview数を重要な指標としてチェックするようになった背景があります。
メディアとしても「ユーザーが視認できる場所に広告を掲載する」ことが求められており、inview率があまりに低い枠があるとそのサイトごと広告事業者から入札停止されるリスクがあるので要注意です。
ここから先は広告主側が重要視する指標の解説です。メディアサイドの皆さんも知っていて損はないのでぜひ覚えてみてください。
コンバージョン(CV)
コンバージョンは広告経由で成約・購入に至った回数のことを指します。
広告主は成約・購入に至ってようやく利益を得られるため、最も重要な指標となります。
CVR(Conversion Rate)
CVR = コンバージョン数 / クリック数
CVRはクリック数に対するコンバージョン数の割合です。
一般的にはCVRは高ければ高いほど効果の良いメディアとされ、入札単価(CPCやCPM)が上がる要因となります。
CPA(Cost Per Action)
CPA = 広告費用 / コンバージョン数
CPAは広告出稿費用に対して何件のコンバージョンがあったかの獲得単価を示す指標です。
一般的にはCPAは低ければ低いほど効果の良いメディアとされ、入札単価が上がる要因となります。
CVRは広告案件とメディアの相性、クリエイティブ、掲載位置など様々な要因が絡み合っており、広告主側の担当者が日々追いかけている指標です。
ちなみにアプリインストール案件の場合はCPI(Cost Per Install)と呼びますが、意味はCPAと同じです。
広告を配信する仕組みに関する用語
次に広告が配信される仕組みに関する用語を解説していきます。馴染みのない単語が沢山出てきますが、わかりやすく説明します。
アドネットワーク
アドネットワークは、複数の広告主を一括で管理し、一つのタグを設置するだけで複数の広告案件が配信される仕組みのことを指します。
アドネットワークが存在していなかった時代は、メディアと広告主が1対1で広告出稿のたびにタグを発行して掲載して…という大変な手間がかかっていたのですが、
アドネットワークが登場してからはメディアはタグを一つ貼るだけで様々な広告主の案件が掲載されるようになり、管理が非常に楽になりました。

ただ、近年ではアドネットワークを提供する事業者も大量に増え、メディア側は各アドネットワーク事業者のタグを何個も貼らなければならない、という状況に陥ってしまいました。
そこで登場したのが次に紹介する「SSP」です。
SSP(Supply Side Platform)
SSPは、メディア側の広告収益を自動で最適化する配信ツールのことです。
SSPは複数のアドネットワークやDSP(次に紹介)を一括で管理し、メディア側はSSPのタグを一つ貼るだけで膨大な数の広告案件を掲載できるようになります。
さらにSSPの優れているところは、広告単価が最も高くなるようにRTBというオークションの仕組み(後で解説します)を搭載しており、
広告が表示されるたびに、その時最も単価の高い広告を自動で掲載してくれます。

しかし皆さんのお察しの通り、近年ではSSPを提供する広告事業者も大量に増え、メディア側は複数のSSPのタグを管理しなければならず、管理の面でいうと結局大変なままになっています(笑)
DSP(Demand Side Platform)
DSPは、広告主側の出稿・運用を自動で最適化する配信ツールのことです。
DSPの優れているところは、DSP事業者や広告主が保有しているオーディエンスデータ(ユーザーの年齢や性別など)を元に、コンバージョンに結びつきやすいであろうユーザーに自動で配信してくれます。
DSPはRTBというオークションに参加し、そこで最も高い価格を宣言した広告案件がSSPを通して掲載されます。
RTB(Real Time Bidding)
RTBは、広告が表示されるたびに毎回行われるオークションの仕組みのことです。
メディアにユーザーが訪れ、広告リクエストがSSPに送信されると、SSPが複数のDSPやアドネットワークから一斉に入札単価を受け取ります。
その時に入札単価が最も高いDSPもしくはアドネットワークが勝者となり、広告案件が実際に掲載されます。
RTBの仕組みはセカンドプライスオークションといって、最も高い入札単価を宣言したDSP・アドネットワークが、2番目の入札単価+1円で落札するという形式が一般的だったのですが、
近年ではRTBの透明性・オークション市場の適正化からファーストプライスオークション(最も高い入札単価を宣言したDSP・アドネットワークがその単価でそのまま落札する)という仕組みに移行してきています。
アドエクスチェンジ
アドエクスチェンジとは、広告枠をインプレッションベースで取引する「広告取引市場」のことです。
今まで解説してきたRTBが「インプレッションベースでの取引」にあたります。アドエクスチェンジはあくまで広告取引市場のことを指しているだけで、何かの仕組みや機能を指しているわけではありませんので、頭の片隅に置いておけば問題ありません。
フロアプライス
フロアプライスとは、広告入札単価の足切り価格のことです。
各SSPやアドネットワークに対してフロアプライスを設定することで、広告枠を適正な価格で販売することに役立ちます。
フロアプライスを設定していない場合、DSPやアドネットワークはもちろん安く広告枠を買うのが理想なので、できる限り低い単価で入札してきます。
価値のある広告枠を適正な価格で販売するためにぜひ設定しておきましょう。(設定の方法は別の記事で解説します。)
ウォーターフォール
ウォーターフォールとは、フロアプライスを活用して複数のSSPやアドネットワークを順に呼び出していく仕組みのことです。
例えばSSP・Aはフロアプライス100円、SSP・Bはフロアプライス50円と設定し、SSP・A→SSP・Bの順にウォーターフォール形式での呼び出しを行うと、
SSP・Aが110円で宣言した場合は、SSP・Bが200円で買えた場合でもSSP・Aが落札されます。
メディエーション
メディエーションとは、複数のSSPやアドネットワークを並列に呼び出し、入札単価が最も高い広告を掲載する仕組みのことです。
ウォーターフォールが順番に呼び出すのに対し、メディエーションは並列に全てのSSPやアドネットワークから入札単価を受け取り、最も単価の高い広告を配信します。
そのため、ウォーターフォールのような収益の取りこぼしがなく、理想的な呼び出し方法とされています。
しかし、入札単価を返すのに時間がかかるSSPやアドネットワークがいた場合、全体の処理が遅延し広告の表示が遅くなる可能性があるため注意が必要です。
広告配信ツールに関する用語
最後によく使われるツールに関する用語を解説していきます。
Google Ad Manager(通称GAM)
Google Ad Managerは、広告を配信するためのサーバー(アドサーバー)の役割を持っています。
アドサーバーでは広告タグを入稿したり、クリエイティブを入稿したりすることができ、広告配信を制御するツールとして役立ちます。
メディアは各広告枠にGoogle Ad Managerのタグを設置するだけで、複数のSSPやアドネットワークの配信を一元管理することができます。
Google Ad Managerは無料プランでの利用も可能なので、メディアやブログを運営している全ての皆さんに利用をおすすめします。
Google Ad Managerの使い方は別の記事で紹介します。
ちなみに、2018年以前はDoubleClick For Publisher(通称DFP)という名称だったので、現在の呼び方が人によってまちまちです。
GAM(ガム・ギャム)、アドマネ、DFPなど、いろいろな呼び方がありますが全部Google Ad Managerのことです。
アドテク用語に関するまとめ
ここまでアドテクの基本用語を解説してきましたが、これらをマスターすることでSSPやアドネットワーク事業者とのコミュニケーションが格段に楽になり、収益性を上げる手がかりが掴みやすくなります。
また、広告とは関係のない仕事をしている人でもマーケティングの基礎知識として抑えておいて損はないので、ぜひ覚えて頂ければ嬉しいです。
アドテク用語に関する質問や相談などはメールかTwitterのDMでお気軽にご連絡ください。
それではm(_ _)m