【iOS14対策】メディアが対応すべきことを解説!アプリマネタイズの未来はどうなる?
公開日:2020/08/17 (更新日:2021/12/31)
こんにちは、株式会社Clans代表の藤田です。
本記事では、今後公開が予定されているiOSの最新バージョン(iOS14)に向けて、事前にメディアが行うべき対策についてまとめています。
この記事を読むことで、
・iOS14によるマネタイズへの影響
・iOS14に向けた具体的な対応方法
について理解することができます。
アプリを運営されているパブリッシャーの方は必ず対応すべき内容を解説していきます。
マーケター以外の方にもわかりやすく解説していきますので、ぜひ目を通してみてください。
iOS14がパブリッシャーに与える影響とは?
まずはじめに、iOS14がアプリメディアに与える影響は大きく以下の2点です。
①IDFAの取得にユーザーの許諾(オプトイン)が必要になる
②ユーザーがIDFAの取得を拒否した場合、ターゲティング広告が掲載されなくなり収益性(CPM)が減少する
※正確にはデバイスの広告識別子の値が全て0となり、識別不能となります。
そもそもIDFAとは?
IDFA(Identifier for Advertisers)とは、Appleが提供しているiOS端末の固有の広告識別子(デバイスID)のことを指しています。
IDFAはAppleによって各ユーザーの端末にランダムに割り当てられており、広告事業者はこのIDを利用することで、
・ユーザーにマッチした広告(ターゲティング広告)の掲載
・アプリの利用状況(最後にアプリを起動したのが何日前か、チュートリアルをクリアしているかなど)に関するデータの計測
などが可能となります。
これまでIDFAはデフォルトで取得許可になっていたのですが、iOS14からは事前にユーザーの許諾を得る必要があります。
iOS14の公開日はいつ?
iOS14は2020年の秋、9月頃のリリースが濃厚とされています。
広告ベンダー各社も既にiOS14に向けて対応を進めていますので、アプリのパブリッシャーの皆さんも今から準備を進めていきましょう。
iOS14に向けて行うべき対策(SDKアップデート)
それでは、iOS14に向けた対応の具体的な内容について解説していきます。
事前準備として以下の3点が必要となります。
②App Tracking Transparency Framework権限のリクエスト
③SkAdNetworkの構成
それぞれ具体的な対応方法を解説していきます。
①Google Mobile Ads SDKを最新バージョンへアップデート
皆さんのアプリに導入されているGoogle Mobile Ads SDK(GMA SDK)を、iOS14に対応した最新バージョンへアップデートする必要があります。
・Google Ad Manager
> SDKダウンロードページ
・Google AdMob
> SDKダウンロードページ
②App Tracking Transparency Framework権限をリクエスト
App Tracking Transparency Frameworkは、ユーザーの許諾を得るためにAppleが提供しているフレームワークです。
具体的な実装方法については以下の公式ドキュメントを参照してください。
このフレームワークを活用して、ユーザーに対してIDFA取得の許諾を得るためのダイアログを表示させます。
「プライバシーとメッセージ」機能をを利用して任意のメッセージを表示させることも可能
GAMとAdMobが提供している「プライバシーとメッセージ」機能を利用することで、ATTダイアログを出す前に任意のメッセージを表示させることが可能です。
自社で1からメッセージ機能を実装するよりも簡単に対応することができます。

③SkAdNetworkの構成
SkAdNetworkも、Appleが提供しているフレームワークです。
SkAdNetworkを利用することで、アドネットワーク経由で発生したコンバージョンを(IDFAが利用できない場合でも)匿名で記録することができます。
また、広告主がキャンペーンIDや配信面を確認することもできるため、広告主の効果計測に必須のフレームワークとなります。
アプリ側の対応としては、各広告ベンダーが発行するキー(SKAdNetwork ID)をInfo.plistに含める必要があります。
SkAdNetworkの実装は以下のApple公式ドキュメントを参照してください。
iOS14の登場でアプリマネタイズの未来はどう変わる?
iOS14の登場により、iOS端末でのユーザーターゲティングが制限され、今後メディアの収益性が下がっていくことは明らかです。
ちなみにSafariブラウザでのCookieが制限されたITPが登場した当時は、私が担当していたメディアのiOSのCPMが約30~40%減少し、大きな打撃を受けました。
そのような時流の中で、今後のアプリマネタイズの未来はどのように変わっていくのでしょうか。
私が考えている今後のトレンドをいくつかご紹介します。
PMPや純広告の市場拡大
ユーザーのターゲティングができなくなることにより、広告主は本当に自社のターゲットとなる層にアプローチできているのか、効果測定が難しくなります。
そのため、今後は広告主が求める特定のユーザー層を多く抱えているメディアへのクローズドな広告出稿(PMPやタイアップ広告など)が増えていくことが想定されます。
例えば、主婦層が多いレシピメディア、若い女性が多い美容・ファッションメディアなどは、そのデータの活用次第でこの時流が追い風になる可能性もあります。
ファーストパーティーデータの需要増加
先程のPMPや純広告を販売していくためには、自社のメディアにどのような属性のユーザーがいるのか、どんなコンテンツが好んで消費されているのか、といった独自のデータが必要となります。
今までのようにオールリーチとリターゲティングを中心に広告を出稿する形態から、
広告主が自社の商品にマッチするメディアに絞って広告予算を投下していくことが想定されます。
会員登録やユーザーアンケートでに性別や年代といったデータを取得していれば、PMPや純広告を受注できる可能性がグッと高まります。
自社にどんな属性のユーザーがいるかわかっていないパブリッシャーの方は、ぜひデータを取得するための工夫をしてみることをおすすめします。
コンテキシャル広告の増加
ユーザーベースでのターゲティングが難しくなることで、広告主の商品と関連性の高いコンテンツ(コンテキシャルデータ)を持っているメディアへの出稿が増えることが想定されます。
コンテキシャル広告はテキストを解析してマッチするメディアに入札を行うため、テキストが豊富なメディアは画像だけのメディアに比べて収益性が高くなります。
今後コンテキシャル広告に広告予算が寄っていく可能性が高いため、画像中心のメディアでもなるべくテキストも一緒に掲載することをおすすめします。
iOS14対策のまとめ
iOS14に向けた対策について解説してきましたが、グローバルでプライバシー保護が強く訴えられている現状では避けられない流れとなってきています。
そこで重要なのは、時流に合わせてマネタイズの戦略を柔軟に変えていくことです。
今までのようにOpenRTBやアドネットワークに頼るだけではなく、自社のデータの活用やコンテンツの改善など、時流が追い風になるような工夫が必要となってきます。
今回の記事が皆さんのアプリマネタイズの参考になれば幸いです。
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