ITPがメディアの収益性に与える影響と簡単にできる対策について解説
公開日:2020/01/27 (更新日:2020/05/15)
こんにちは、株式会社Clans代表の藤田です。
本日はITPがメディアの収益性に与える影響と、誰でも簡単にできる対策について解説していきます。
ITPは既に適用されている仕組みですが、最近広告を担当するようになった方・改めておさらいしたい方向けにわかりやすく解説していきます。
目次
ITPがメディアに与える影響とは
この記事を読んでいる皆さんは、個人もしくは法人でメディアやブログを運営されている方々がほとんどだと思います。
突然ですが、皆さんのメディアに訪れているユーザーの中でiPhoneのSafariブラウザで閲覧されている割合はどれくらいでしょうか?
日本はiPhoneの普及率が高く、ほとんどのメディアでiPhoneからの閲覧が圧倒的なシェアになっているかと思います。
ITPはこのiPhoneのSafariブラウザにおけるCookieターゲティングを一部制限する仕組みのことで、2017年に適用されてからメディアの広告の収益性が大きく下がる結果になりました。
今回は皆さんのメディアにも影響しているITPとは何か、メディアとして対策できることがあるのかという部分についてお話していきます。
この記事を読むことでITPを始めとしたCookie制限の動向を理解し、予測をしてメディア運営を行うことができるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
ITPの影響について
ITPそのものについて詳しく話す前に、まずはメディアがどのような影響を受けるかについて解説していきます。
シンプルに言うと広告主(DSP)の入札単価が下がり、その結果メディアの収益性(CPM)が減少します。
なぜ入札単価が下がるのかというと、広告主はコンバージョン獲得を目的として運用しており、リターゲティング(Cookie情報を利用したターゲティング配信)で見込み顧客に対して高い単価で入札し、それ以外の潜在層に対してはなるべく低い単価で入札するのが基本となっているためです。
しかしITPの適用により、iPhoneのSafariブラウザにおけるCookieの利用制限がかかってしまい、DSPが思うようにユーザーをターゲティングすることができず、見込み顧客に対しても低い単価で入札せざるを得ない(見込み顧客かどうかがわからない)という事態に陥っているのです。
ここまででITPによりメディアの収益性が下がっているということが伝わったかと思いますので、次はそもそもITPとは?という部分を深堀っていきます。
ITPってそもそも何?
ITPはIntelligent Tracking Preventionの略で、Apple社が始めたユーザーのプライバシー保護施策の一環です。
簡単に説明すると、サイトに訪問したユーザーのCookie情報が、24時間経つと参照できなくなるという仕組みです。
ITPは2017年9月にリリースされたSafari11のバージョンにて初めて実装され、今でも継続して適用されています。
まずサードパーティーCookieから適用され、今ではファーストパーティーCookieも含めて制限の対象となっています。
そのため、今まではほぼ無制限(正確には30~90日程度)までCookie情報を参照して広告のターゲティングに活用することができていたのですが、
ITPの登場により参照期間が大幅に狭まり、24時間以内でしかターゲティングが効かないという状態になりました。
誰でも簡単にできる対策(実体験)
ITPが初めて実装された2017年9月以降、国内のほとんどのWebメディアの収益性が下がる事態となりました。
当初は僕も会社でメディアのマネタイズを担当していたのですが、iOS11以降のバージョンでの収益性(CPM)が約50%減となりました。
これは非常に大きなマイナスインパクトでしたが、当時メディアやベンダー側で対応できることはほとんどなく、
そのような状況の中で僕が実行していた施策が、iOS11以降のバージョンのみを対象にしたフロアプライスを設定するというものでした。
フロアプライスはiOSのバージョンで分けることはしないのが普通だったのですが、ITPによりiOS11以降だけがターゲティングが上手く使えなくなり、
今まで設定していたフロアプライスを超えることができなくなった結果、50%の収益減という結果になってしまいました。
そのため、iOS11以降のみを対象にフロアプライスを引き下げることでCPMを改善しようと考えたのです。
結果としてそこからおよそ10%くらいのCPM改善を実現することができました。
僅かな改善幅ではありましたが、やる価値のある施策でした。
ここで皆さんにもぜひやって頂きたいのが、Google Ad Managerを利用してiOS11以降のCPMを調べてみてください。おそらくAndroidのCPMの5~7割くらいの水準になっているのではないかと思います。
それが確認できたら、iOS11以降のOSバージョンを指定してフロアプライス(仮想CPM)を低めに設定してみましょう。2~3日単位で調整しつつ最適化をかけることで収益性改善につながっていくと思います。
今後のCookie関連の動向とまとめ
ITPに関しては現在は落ち着いてきていますが、Cookieをめぐるユーザーのプライバシー保護の動きは加速してきています。
つい先日、Googleが2年以内にChromeでのサードパーティーCookieのサポートを終了することが発表されました。
参考:【最新】Chromeの3rdPartyCookieサポート停止によるメディアへの影響と対策
もしこれが施行されたら、おそらくITPの時のようにメディアの収益性が下がっていくかもしれません。
その際はメディア側でもフロアプライスの調整などで対応していく必要が出てきますが、それはあくまで小手先のテクニックです。
大事なのは業界全体でのCookieレスのターゲティング技術に対してアンテナを張っておき、市場の動向を察知できるようにしておくことが重要です。
僕のTwitterでもCookie関連の情報はなるべく皆さんにわかりやすいように噛み砕いてシェアしていきますので、よければフォローして頂ければと思います。
ITPやターゲティングの仕組みについて不明な点があれば、メールかTwitterのDMでお気軽にご連絡くださいm(_ _)m
それでは!