【2020年代】メディアマネタイズの現在と未来について考えてみる
公開日:2020/01/28 (更新日:2021/12/31)
こんにちは、株式会社Clans代表の藤田です。
本日は2020年代のメディアマネタイズの現在と未来について考察していきます。
これからメディア・ブログを作ろうとしている方や、マネタイズの事業戦略に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
メディアにおけるアドテクの重要性について
まずはメディアにとってアドテクはどれくらい重要なのか、についてお話していきます。
結論から言うと、立ち上げ期のメディアではそれほど重要ではないのですが、一定規模のユーザーを獲得し、収益化を図るタイミングで必ず向き合わなければならないのがアドテクです。
アドテクというと難しい技術や知識のことを想像されるかもしれません。現にメディアサイドでアドテクに詳しい専門家は非常に少なく、マネタイズの担当をつけているメディアは大手くらいと言ってもいいでしょう。
しかし、このアドテク大学で発信している情報は全てメディアの収益最大化にフォーカスした初心者向けの知識・テクニックですので、難しい技術や知識を覚える必要はありません。
皆さんのメディアが最短距離で収益最大化を実現するためのお手伝いをすることが、アドテク大学が提供する価値でありビジョンです。
本記事の目的
今回の記事は、アドテクを活用したメディアマネタイズの現状と未来を考察し、皆さんのメディアのマネタイズ戦略に役立つ情報を提供していくことが目的です。
もしアドテクの知識が全くない、社内にマネタイズ担当がいなくて誰にアドバイスを求めたら良いのかわからない、という方でも
この記事を読めば基礎知識がつき、今後のアドテク業界を取り巻く環境の変化に柔軟に適応できるようになりますのでぜひ目を通してみてください。
筆者の経験・実績
僕は2016年~2019年まで約3年間、大手ブログ系メディアの広告マネタイズに携わっていました。
業務としてはGoogle Ad Manager(当時のDFP)の導入・運用、サードパーティーのSSP・ADNW事業者とのコミュニケーション、事業戦略の設計・実行などを行っていました。
そして主な実績がこちらです。
・ヘッダービディングの導入によるCPM改善
・LazyLoad導入(ビューアビリティ対策)によるCPM改善
・AMPの広告運用で収益積み上げ
・アプリのメディエーション導入によるCPM改善
これらの施策を徹底的にやり切り、僕が担当してから全体の収益性が20~30%くらい上がったかと思います。
現在は独立し、フリーでメディアマネタイズのコンサルティング事業を行っています。
大手メディアで培ってきたノウハウを、個人メディアや中小メディアでも活用できるように工夫して提供しています。
お問い合わせはいつでも受け付けていますので、DMかメールでお気軽にご相談ください。
ここ数年のアドテクの進化
それでは早速、アドテクの現在と未来の考察についてお話していきます。
まずはアドテクの現在をテーマに、ここ3~4年で起きたアドテクの変化について紹介していきます。
ヘッダービディングの登場
ここ数年で最も大きな変化と言っても良いのが、ヘッダービディングの登場です。
ヘッダービディングは今までGoogleにほぼ独占されていた広告事業者たちが、ようやくAdX(Google AdExchange)と公平に競えるようになった画期的な技術です。
僕が担当していたメディアでもいち早くヘッダービディングを導入し、業界の先駆けとなる実績を作ってきました。
収益性が大きく上がる施策となりました。
ヘッダービディングについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、詳細を知りたい方はぜひ読んでみてください。
参考:【最新】今話題のヘッダービディングを徹底解説!提供事業者やメリット・デメリットを紹介
記事アフィリエイトの流行
次に大きな話題として、記事アフィリエイトの流行が挙げられます。
記事アフィリエイトは2016年頃から流行し、代理店やメディアが大きく収益性を上げる起爆剤となりました。
記事アフィリエイトについて説明すると、第三者が執筆したブログのような記事をLPとして広告出稿するというモデルのことです。
例えば広告主がダイエットサプリや健康食品などの商品を出稿する時、今までは商品の特徴をまとめたLPを利用することが主だったのですが、
ブログ記事を利用することでより説得性を増し、購買に繋がりやすくなるという効果がありました。
しかしその反面、薬事法に抵触するような過剰表現が多く見られるようになり、大手メディアが先陣を切って広告審査をより厳しく行うようになりました。
その結果記事アフィリエイトの出稿は業界的に減少し、今でもたまに見かけるのですが当時のバブル状態に比べるとかなり少なくなりました。
ビューアビリティの重視
近年、ネット広告における不正問題が大きく取沙汰される中、ビューアビリティというワードが浸透していきました。
ビューアビリティとはユーザーが実際に広告を視認しているかどうかをチェックする指標のことです。
広告主はインプレッションに対して課金しているのでユーザーが広告を見ていなくても課金されてしまうのですが、それを逆手に取りわざと広告が見えないように掲載して収益を受け取るメディアが登場しました。
昔は広告主やDSPを含め、コンバージョン主義での運用がほとんどだったのですが、現在ではインプレッションの質を重要視するようになってきました。
その結果メディアでも広告を見られる位置に配置することが求められ、不正なメディアは収益性が大きく下がる結果となりました。
AMPの登場
AMPはサイト運営者の方なら耳にしたことがある方も多いかもしれません。
Accelerated Mobile Pagesの略で、サイトを高速表示するための技術のことです。
結論から言うと、AMPにおけるマネタイズは未だに答えが出ていません。
GoogleもAMPを推進しているものの、通常のサイトに比べて収益性が下がる可能性が高いため様子見をしているメディアが多いのが現状です。
なぜAMPに対応すると広告収益が下がるのかというと、サイト自体の表示スピードが速くなったのに対して広告の表示スピードがほぼ変わっておらず、広告の表示に時間がかかりユーザーにスルーされてしまうという大きな欠点があるためです。
現在ではGoogleを筆頭に広告の表示スピード改善に取り組んでいますが、まだ大きな効果は得られていないのが現状です。
アプリマネタイズの進化
広告マネタイズはWebにおける技術革新が先行して進む中、アプリでできることは非常に限られておりWebに比べて進化が遅れていました。
しかし、ここ数年でアプリならではメディエーションによるマネタイズが大きく普及し、Webにも劣らないクオリティの広告運用が可能となりました。
メディエーションとは複数の広告事業者を公平に競わせ、最も収益性の高い広告を自動的に掲載してくれる仕組みのことです。
さらに直近ではアプリ版のヘッダービディングも登場し、今まさに技術革新が進んでいるHOTな市場がアプリマネタイズとなっています。
ここまで最近のアドテクの進化について紹介してきました。これを踏まえて、今後のアドテクの未来について考察していきます。
今後のアドテクの未来
僕が考える今後のアドテクの未来として、大きく以下の3つがメディアにとって重要になると考えています。
・PMPや純広告の市場拡大
・Cookieレスでのターゲティング技術の進化
それぞれ背景とともに解説していきます。
Google一強時代の終焉
これについては既に始まっている、という表現が正しいかもしれません。
2010年代(特に前半)はGoogle AdSenseやGoogle AdExchangeがほぼ一強で、それ以外の広告事業者は独自の案件を確保するくらいしか対抗手段がありませんでした。
しかし、ヘッダービディングの登場によりGoogleとそれ以外の事業者が対等に入札競争を行えるようになりました。
ヘッダービディングは2017年頃から一気に普及していきましたが、今後は中小のメディアや個人でもヘッダービディングができる時代が来ると考えています。
個人や中小でも使えるようになると、市場にある広告在庫のうちGoogleのシェアが下がっていき、サードパーティーの事業者のシェアが上がっていきます。
その結果、SSPやヘッダービディングのベンダーは今までよりも幅広い戦略を取れるようになり、ヘッダービディングを上手く活用できた事業者が大きく事業を伸ばすことになると考えています。
メディアにとってもヘッダービディングにより収益性が上がるため、業界全体でさらに普及が進んでいくのではないかと思っています。
PMPや純広告の市場拡大
これは近年のネット広告の不正問題に大きく関わっており、広告がどのメディアに掲載されるかわからないオープンオークションから、特定のプレミアムなメディアのみを束ねたPMP(Private Market Place)と呼ばれるクローズドなネットワークに広告主の予算が移行していくことが考えられます。
その結果、2chまとめサイトのようなオープンオークションでのネットワーク収益が大きく下がり、大手のメディアがPMPを活用して収益を伸ばしていく、という世界が訪れます。
PMPを上手く活用するために2020年代のメディアが意識するべきことは、自社のユーザーデータの収集と活用です。
PMPは特定のユーザー層が多く訪問するメディアほど参加しやすく、また代理店やSSPが販売しやすいため収益が伸びやすくなっています。
そのため、自社のユーザーがどんな属性で、何に興味関心を持っているのかをデータで抽出できるようになれば、PMPを始める第一歩となります。
Cookieレスでのターゲティング技術の進化
つい最近、Googleが2年以内にChromeでのサードパーティーCookieのサポートを終了することを発表しました。
これに伴い、Googleを筆頭にCookieレスでのターゲティング技術の開発が大きく進歩していくことになります。
既にGoogleはプライバシーサンドボックスという5つのAPIを使ってユーザーをターゲティングする技術を発表しており、ユーザーのプライバシーを保護しつつ広告収益を上げるための仕組みが生まれつつあります。
さらにこの技術がユニバーサル識別子を持ってブラウザを横断してターゲティングできるようになると、Chrome以外のブラウザの収益性が上がる可能性もあります。
ユーザーのプライバシー保護に対する風当たりは今後ますます強くなっていくことが予想されるので、メディアとしても各社の動向を追っていく必要があります。
アドテク大学のTwitterでも定期的に情報を発信しているのでぜひチェックしてみてください。
まとめ
今回の記事ではメディアマネタイズの未来について考察してきました。メディア運営者でアドテクについて詳しい専門家は国内ではまだ少なく、全てのメディアが収益最大化できているわけではないのが現状です。
しかし、現在のメディアマネタイズを理解し、未来について想像してみることでマネタイズ戦略にも大きく活用できると思います。
本記事でわからないところや質問があれば、メールかTwitterのDMでお気軽にご連絡くださいm(_ _)m
それでは!